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目標経営教室 第21回

単年度計画④ -売上計画(2)-

前回は単年度計画における『売上計画』の“売上高計画”“売上原価(変動原価)計画”についてお話ししました。
売上高計画は、適当な売上分類に分けて行うことが必要で、できれば“数量×単価”で計画することが望ましいものでした。
また、売上原価(変動原価)は、売上高に対する“率”で計画しますが、それは“売上単価に対する率”であることがご理解いただけたでしょうか。
さて今回は、売上計画の続きとして、在庫計画及び売上債権・仕入債務計画についてお話ししたいと思います。

 

(3) 在庫計画
売上原価計画での売上原価(変動原価)は、売上に対する“率”で設定しているので、それは“売上に対応した原価”ということになります。
売上原価は以下の内容からなりますが、この“売上原価に対応した原価”とは、まさしく下記の「D」ということです。
A: 期首(月初)商品棚卸高  -資産
B: 当期(当月)商品仕入高  -資金流出
C: 期末(月末)商品棚卸高  -資産
D: 売上原価(A+B-C)  -損益
損益計画だけを考えるのであれば、在庫について考える必要はありません。
しかし、損益だけでなく、資金繰りについても考えることが望まれます。
資金が潤沢にあり、借入もないような会社で在れば、資金について考える必要がないのかもしれませんが、資金が足りなくなれば会社は倒産してしまうことになり、経営上、資金繰りは損益以上に重要な項目であるとも言えます。
期首商品棚卸高(期首の在庫)は、開始時に確定しているものですから、期末の在庫を予測することにより“当期商品仕入高”が推定されます(B=D+C-A)。
この“当期商品仕入高”はその期間に仕入れた商品の購入価額であり、資金の流出を伴う額ということになります。在庫の額は、通常売上原価(又は売上高)に対する「回転期間」で設定します。
まずは期首の残高が売上原価(又は売上高)の何日分あるか?を計算しましょう
これを「回転期間」といいます。回転期間は、[在庫金額÷(売上原価÷365)]で計算できます。前年度末の在庫回転期間を算出し、それを基に各月の回転期間を考えます。
そして各月末の在庫金額は、月次売上原価×回転期間で計画します。
特に変動する理由がない場合は、各月同一の回転期間で計算して良いでしょう。
但し、会社の目標として“在庫を減少させる”等の指標がある場合は、それを反映した計画を立てることが重要です。“在庫を減少させる”ということは、“回転期間を短くする”ということですから。ところで、業態によっては常に一定の在庫を保有しておくことが必要である場合があります。また、不良在庫が多額にあり、それを処理できないような事情がある場合があります。
このような場合、それらを含めて回転期間を算出し、取引高に応じて計算すると、在庫残高が異常値を示してしまうことがあります。このような場合は、在庫を“通常在庫”と取引高に影響しない”固定在庫”とに分け、通常在庫に回転期間を乗じて在庫金額を算出してください。
尚、回転期間を算出する計算式の“売上原価”は“売上高”で代用しても、特に問題はないと考えられます。但し、回転期間の算出に“売上高”を使った場合は、在庫金額を算出するに当たり、“売上高”に回転期間を乗ずることが必要です。

上記は、期首在庫金額が12,040千円でそのうち5,000千円が固定在庫とし、残り7,040千円を固定在庫(変動在庫)とした上で、前年度の回転期間である18.7日を各月の売上原価の計画数値に乗じて計算・集計したものです。
最右欄の「当月商品仕入高」は「売上原価+月末在庫-月初在庫」で計算されます。
(4) 売上債権、仕入債務計画
売上債権及び仕入債務計画も在庫計画と同様に基本的には損益には関係ありません。しかし、支払と入金のタイミングにより資金的に大きな影響をもたらすことがありますので、ぜひとも計画を立てたいものです。
“売上債権”は「売掛金」と「受取手形」からなります。それぞれについて「売上高」に“率”を乗じて残高を計画します。
この場合の“率”とは、在庫と同様「回転期間」であり、
売掛金回転期間=売掛金残高÷(売上高÷365)
受取手形回転期間=受取手形残高÷(売上高÷365)
で算出されます。
ぞれぞれの残高は、前期の実績回転期間を基に想定した回転期間を各月の計画売上高に乗じて残高を算出することができます。
なお、受取手形の割引がある場合、回転期間を算出する場合の受取手形残高は、割引手形を含めること、また、ここで計画する受取手形残高は、割引を考慮しないということに留意してください。手形の割引は『資金計画』で策定することになります。

“仕入債務”は「買掛金」と「支払手形」からなります。
仕入債務計画も売上債権計画に準じて行うことになりますが、回転期間を求める算式及び各月の残高を計算するにあたり回転期間を乗ずる対象となる『売上高』は『商品仕入高、材料仕入高、外注加工費の合計額』と読み替えてください。仕入債務が発生する要因が商品仕入高などであるからで、これは“売上原価”でないことに留意が必要です。もっとも、在庫金額が重要でなければ、売上原価や売上高を用いても、大きな問題ではないかもしれませんが・・・。


これで売上債権・仕入債務計画は終了です。
そして、売上計画の完成です。

次回は人件費計画の手法について解説したいと思います。

 

 

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