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山本哲郎コラム「望みは人財か、人在か。新しい働き方とその評価」

前回のこのコーナーでは、新型コロナウイルスの蔓延により新たな働き方が模索され、それがコロナウイルス収束後も引きつづき採用されるようになるのではないか、それに伴い労働価値の評価基準が変わるのではないかというお話しをしました。

“新たな働き方”に代表されるのが「在宅勤務」でしょう。
今までは皆が同じ時間に会社に出社し仕事を始め、定時になると一斉に帰社するのが当たり前に見られる光景でした。
しかし感染を防止するため在宅勤務をしてみると、結構“出来る”と感じた企業も多かったようです。特にITを中心とした業務をおこなっている会社はそうなのでしょう。

●「在宅勤務」にすると、“通勤時間”がいらない。
東京近郊の会社では片道を1時間以上かけて通勤しているのが当たり前。通勤時間を1日2時間として年間250日働くとすると年間500時間、1日の勤務時間が7時間だとすると、ナント!年間70日を超す勤務時間に相当するのです。

●「在宅勤務」にすると、“オフィススペース”がいらない。
東京のオフィス賃料は15,000円/坪は当たり前、IT企業なんか30,000円/坪を超す高額賃料のオフィスに居を構えているのです。常時いる人員を削減することによりオフィススペースを減らすことができたら、大変な額の経費削減につながるのです。

もちろん工場や店頭接客をするような業態の会社はそうはいきませんが、「在宅勤務」によって業務の生産性が落ちないような業種では、これからも「在宅勤務」が続き、それが“当たり前”になってゆくことでしょう。

しかしその場合には、労務管理をどのようにするかが問題になります。
前回にも述べましたが、私は労働時間による労務管理はあまり好ましいとは思っていません。
しかし労働時間は、客観的に捉えることが出来る唯一の指標かもしれません。
朝出社するとタイムカードに刻 印し、退社するときもタイムカードに刻印する。これにより労働した時間を集計し、それで労務管理をするのが大半の企業です。
労働基準法も、それを前提としています。

一方「在宅業務」となるとタイムカードに刻印できない。パソコンなどを利用して同様のことができたとしても、見ている人がいないので、労務状況の把握が非常に難しくなり、また、不公平が生ずることも予想されます。

そんな中、先日7/8の日経新聞に 職務を明確に規定し成果を評価しやすくする制度「ジョブ型雇用」についての記事が載っていました。

要するに在宅勤務者の評価を「どのような仕事をしたか」によって評価するということで、富士通がそれに取り組み始めたということです。
但し、それを運用するための「“職務規程書”づくりは容易ではない」ともいっています。

また翌日の記事では「ジョブ型雇用」の国は生産性が高いとして、労働生産性の上昇率を引用しています。

 

(※アクシィ経営支援室作成)

そして「ジョブ型」を機能させるには「長年親しんだ労働慣行を変える必要がある。」とも言っています。

そういう意味では、今まで慣行としてやってきた「日本型の雇用形態」自体が制度疲労を起こしつつあるのかもしれません。
「終身雇用」「年功序列」「企業内労働組合」というのが日本型経営の特徴と言われていますが、それは過去の高度成長時代の遺物であり、これからは多様な働き方を前提に、最もモチベーションを高く維持できる方法に舵を切ってゆかなければならないのだと思います。

そしてこれは「在宅勤務」だけの問題ではなく、雇用全体の問題であるのです。
そしてこれは大企業だけでなく、中小企業とあってもそれなりに変えてゆく必要があるのだと思います。
いや、むしろ中小企業だからこそ従業員全員の同意を得やすく、率先して変えてゆくことができるのではないでしょうか。

そのためには試行錯誤でも、まず“取り組み始めること”が必要なのだと思います。

いろいろな方法はあると思いますが、その一つの方法として、私は「目標管理」をしてゆくことだと思います。
従業員それぞれが自分の行う業務に対して目標を立て、それを実行したかどうかによって評価するのです。その目標が適切かどうかは上司と相談しながらということになるのでしょうが、それが達成できれば会社にとっても確実な実績につながるはずですし、従業員本人も自分の存在意義を感じることができるはずです。
もちろん一気全面的に行うことは不可能ですので、徐々に推し進めることになるのでしょうし、そこには多くの課題が出てくるものと思います。
しかし、その一歩を踏み出すことが重要なのだと思います。

ただ時間から時間まで居るというのは「人在」です。
「人材」を「人財」に変えてゆくには、“時間”から脱却し、“目標達成”に評価軸を変えてゆくべきなのではないでしょうか。

あなたもぜひ取り組んでみませんか?

山本 哲郎

会社概要

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創立:昭和61年8月
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所長:山本哲郎
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