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所長のぼやき

史上初の米朝首脳会談に思う!

何度か開催が危ぶまれた米朝首脳の歴史的会談が、先日シンガポールで実現しました。

アメリカに最大の脅威を感じ、そのアメリカに対峙するためになりふり構わずミサイル発射実験や核開発を推し進めてきた金正恩朝鮮労働党委員長と、これまた自己の利益しか考えず、世界を呆れさせるような言動が目につく、アメリカ大統領らしからぬトランプ大統領の会談、ついこの間までお互いを罵り合っていた者同士の会談が実現するなんて、誰が予測したでしょう。

これに先立ち、北朝鮮に融和的な考えを持つ文在寅韓国大統領が南北会談に漕ぎ着けたことが大きかったのだと思いますが、このような常人でない二人だったからこそ実現した会談だったとも言えるでしょうね。

 

 

会談の結果は、必ずしも満足のいくようなものではなかったのかもしれませんが、朝鮮半島の非核化に向けての第一歩になったことは間違いないでしょう。
もっとも、一旦決まったことを反故にするという前歴を持った北朝鮮とアメリカですから、まだまだ分かりませんが・・・。

ところで今回のこの会談、日本にとってはどのような影響があるのでしょうか。

日本に最も近い位置にある国が、かつて日本が起こした戦争の煽りで2つに分断されたままになっている。
ロシア、北朝鮮、中国と共産国が並ぶ中、そこから派生するような位置に韓国があり日本がある。
そこはまさしく共産主義と自由主義の最前線です。  その中で特異な経済成長を遂げ、真っ先に先進国の仲間入りを遂げた我が国は、それら国々の平和的友好関係を作るための要になるべき立場にあったのではないでしょうか。

それなのに近隣国に対するリーダーシップを発揮できない、というか米国しか見ず、米国の言いなりにしか行動できない我が国の指導者達には、本当に辟易します。

最近の北朝鮮に対する対応に関しても、安倍総理は「日米は完全に一致している」と言い続け、トランプ大統領が「制裁」といえば安倍総理も「制裁」、「最大の圧力」といえば「圧力をかける」と言い、それを翻してトランプ大統領が「最大の圧力という言葉をもう使わない」といえば、今度は「それを支持する」という。
「日米の考えが一致」しているのではなく、「日本は常に米国の言いなり」になっているだけです。

自分の意志はないのでしょうか?
日本国の意志というものはないのでしょうか?

安倍総理はトランプ大統領に掛け合って、会談に拉致問題について持ち出すように頼み、トランプ大統領はこれを受け入れたとのことでしたが、結果としては共同宣言に拉致問題はなく、北朝鮮は依然「解決済み」と考えているようですし、その見返りとしてどのような約束があったのかは知りませんが、北朝鮮の非核化のための費用は日本と韓国が負担すべきだとトランプ大統領に言われる始末。
日本とアメリカは友好国であったはずですよね。
阿倍さんはトランプ氏のもっとも信頼すべき友人だったのですよね。
利用されただけとしか思えないのですが・・・。
この会談の陰で、日本の存在感がますます後退し、むしろ孤立化が進んでいるような気がします。
いかに外交べたな日本としても、あまりにも情け無く思います。

日本の敗戦により、日本が侵攻していた朝鮮半島のその後の覇権をめぐって朝鮮戦争が勃発しました。
その結果、朝鮮半島は2つの国に分断され、同じ民族なのに全く違う文化を強いられることになったわけです。
一方、戦後の復興に多大に苦慮していた日本は、朝鮮戦争特需の恩恵を受け立ち直り、その後の驚異的な高度成長を生み出しました。
朝鮮戦争によって日本は息を吹き返し、朝鮮半島はその犠牲になったのです。
それなのに、朝鮮戦争が集結しておらず、未だに停戦の状況であっただけだなんて、全然知りませんでした。
朝鮮戦争はとっくに終わっていたものだと思っていました。隣国のことなのに・・・。

その朝鮮戦争が今回の米朝会談によってもし終結するなら、本当に素晴らしいことだと思います。
北朝鮮の体制維持を保証するのであると、南北統一は難しいのかもしれませんが、米朝の国交正常化、朝鮮半島の非核化が多少なりとも進展すれば、平和体制の構築に計り知れない影響をもたらすものと思います。

今後の成り行きに期待したいと思います。

 (山本哲郎)

セクシャルハラスメント

先日、財務省の福田事務次官が女性記者に対しセクハラをしたということで辞任し、それに対して麻生財務大臣が「はめられた」とか「セクハラ罪という罪はない」などという発言をし、波紋呼んでいます。
ハリウッドでは大物プロデューサーであるハーベイ・ワインスタイン氏が多くの女優にセクハラをはたらいたということで、アカデミー賞を主催する米映画芸術科学アカデミーから除名の決定を受けました。

セクシャルハラスメントという言葉が言われるようになってから久しいのですが、最近このような問題が多発しています。

今月は、セクシャルハラスメントについて考えれみたいと思います。

 

 

そもそも、「ハラスメント」とは、嫌がらせや相手を不快にさせる行動のことであり、セクシャルハラスメントは性的嫌がらせということになります。

それでは、セクシャルハラスメントに対する法的な罰則規定はあるのでしょうか?

セクシュアルハラスメン卜そのものの明確な禁止規定はどの法令にもなく、「セクシュアルハラスメン卜罪」といったものはないのだそうです。
その意味では麻生財務大臣の言っていることは正しいのかもしれません。

それではセクシャルハラスメントを行なってもそれを裁く法律がないのかというと、それも違います。

セクシャルハラスメントはそれを行った本人と、その者を使用(雇用)している事業主に対し、法的に責任を問う裁判例も多くあるようです。

(1) 加害者本人の法的責任
セクシュアルハラスメン卜は、被害者の名誉やプライバシーなどを保護する「人格権」を侵害する行為であり、「不法行為に 基づく損害賠償責任」(民法第709条)を問われることがあります。
また、それが身体を触ったなどの場合には、「強制わいせつ」などの刑法上の責任を追及されることもあり、身体を触らない場合でも、「名誉毀損」「侮辱「脅迫」等の罪に問われる可能性もあるようです。

(2)加害者を使用している事業主(管理監督者)の法的責任
「男女雇用機会均等法」では、事業主に対し職場におけるセクシュアルハラスメン卜防止のための雇用管理上の配慮を義務づけています。 事業主が配慮義務を果たしていない場合には、厚生労働大臣による指導や勧告等の対象となります。
また民法上でも事業主は、従業員が職務遂行中に行った行為に対し、使用者として損害賠償責任を問われることがあり、さらに職場の人間関係のトラブルを解決または未然に防ぐことが求められており、裁判でも会社の責任 は広く認められる傾向にあるようです。

ところで、“相手を不快にさせる行為”とは何なのでしょうか?

相手が不快に感じるということは、「相手がどう思うのか」であり、「こちら(加害者)が何をしたか」ではないのです。

だいぶ以前にセクシャルハラスメントという言葉が言われ始めた頃のことですが、私の知り合いの弁護士が、セクハラに対して警告するためのビデオを作りました。
そのビデオでは、2人の男が1人の女性にまったく同じことをするというストーリーで構成されています。
一人は“イケメン”、もう一人は“うだつの上がらなそうなオジサン”です。

イケメンが女性にちょっとエッチなことを言います。その女性は楽しそうに話を返します。
それに対して同じことをオジサンが言うとセクハラになるのです。
イケメンが女性の今日の服装のセンスを褒めます。そうするとその女性は褒められてとても嬉しくなり、その男性に好意を感じるのに、それと全く同じことをオジサンが言うと、その女性はとても不快に感じ、セクハラになるのです。
この程度のこと?と思っても、相手が嫌だと思えばアウトです。
イケメンだと、お尻を触ってもセーフだったりするのに、オジサンだと・・・。

要するにこのビデオでは「これはしていい」「これはしてはいけない」ということが、画一的に言えるものではないということに警鐘をならしているのです。

同じことをしても、好感を持っている相手なら何の問題もなく、そうでない相手だとせセクハラになるのです。
そしてそれは、その行為を受けた人の気持ちにだけに依存するのであり、行為をした人の気持ちは関係ないのです。
だから「私はセクハラをしていない」などというのは通じないのです。
「この程度のことはセクハラではないだろう」というのも通用しないのです。

そもそもセクハラは性的な事象が対象であり、その事象自体は、好意を持っている人からはむしろ「して欲しい」と思うものであり、これがセクハラ問題を難しくする要因なのでしょうね。

だから“そのようになりうる状況を出来るだけ作り出さない”ように、私のようなオジサンは考えなければなりません。
君子危うきに近寄らずですね。

もう一つ気をつけなくてはならないのは、前述の使用者の責任です。
セクハラをした人を見て見ぬ振りをしてはいけないのです。
「そのくらい我慢しろよ」とか、「そんな気を起こさせるような格好をしているから」などと言ったらおしまいです。
しかし、使用者(上司)もセクハラだと思っていない場合もあるから厄介です(麻生大臣のように)。
そのようなことが起こらないように日頃から指導し、ルールを作るなどの措置をしておき、もしセクハラが起きたら被害者を保護し、加害者に適切な指導をすることが大事なのです。

ところで先の福田事務次官の問題。どこかおかしいと思いませんか。

もちろん福田氏の行ったことは問題であり、事務次官という立場の人としての資質が問われるものです。
しかし女性記者は、嫌だったら「取材(食事)に行かない」という選択肢があったはずです。
そんなスケベ親父、どこにでもいるじゃないですか。嫌なら近寄らなければいいのです。
マスコミは女性記者を雇用しているテレビ朝日の責任についてあまり語っていないようですが、むしろそこに行かせようとする、または行くことにより嫌な思いをしていることを知りながら何の手を打たないテレビ朝日にこそ責任があるのではないでしょうか。
訴えられるのは福田氏ではなく、“テレビ朝日”であるはずです。

いずれにしても“セクハラ”、いつ何時我が身に迫ってくるかわからない問題です。

気をつけたいものです。

(山本哲郎)

 

指示と忖度

最近また国会が荒れていますね。
森友学園、加計学園の決済文書や自衛隊イラク派遣の日報等、無かったはずの文書が次々と出て来たことがその発端となっています。
そもそも“無いはずのない”ものを「無い」としたことに無理があったのだと思いますが・・・。
今日はそのようなことに対して物申すのではなく、組織の中の意思伝達としての「指示」と「忖度」について考えてみたいと思います。

 

 

大辞泉(小学館)では、
指示 = さしずすること。命令。「―に従う」「―を与える」「部下に―する」
忖度 = 他人の心をおしはかること。「相手の真意を―する」
と書かれています。

まず、「指示」について考えてみましょう。
組織の中で目標を達成するためには、上層部が決めた方針に基づき、各部署の目標を定め、それを達成すべく各人が行動します。
そこでは、それぞれの階層ごとに各人の役割があり、各人がその役割を全うすることにより、目標が達成されるのです。

その時、上層部の人が末端の人達の役割まで具体的に指示するでしょうか?
少人数の組織ならばそれもあるのかもしれませんが、ある程度の規模であれば、そのようなことはないはずです。
トップが言ったことを中堅幹部が下の者にも分かるような言葉に置き換え、その下の者は更にその下の者にも分かるように言葉を置き換えて伝達するはずです。
そうでなければ上から下への指示は伝わりません。

私は講演などでよく言うのですが、トップと平社員では言語が違うのです。
トップの言葉は平社員には理解できないのです。だから、中堅幹部がそれを下の者にも通ずる言葉に通訳することが必要なのです。

例えば、社長が「火の用心」と言ったとしましょう。
中堅幹部またはその下のリーダーなどが社長が言ったと同じに「火の用心」と言っても、末端の者は何をして良いか分かりません。
社長は「火事になったら大変だから、それに備えて万全の準備をするように」という意味で「火の用心」と言ったのです。
この「火の用心」を社内に浸透させるために経営幹部は、例えば
「消化器の配置は十分か?」
「消化器の期限切れはないか?」
「避難訓練は十分に行っているか?」
「火事防止に対する意識を高めているか?」
などについて、的確な指示を出すことが必要です。

社長が一言言えば、末端の人たちが的確に行動する、これが良好な組織であり、それぞれの階層毎に指示の内容が変わってくることにより、円滑に指示が伝わるのです。

さて先の国会ですが、安倍首相は答弁などで「私はそのような指示はしていない」などと言っていますが、そんなのは当たり前です。
そのような具体的指示をトップがするはずはないのですから。
安倍首相がどのようなことを言った知りませんが、言われたことが結果につながるように指示をする、これがその下にいる人たちの役割であり、阿倍首相が直接具体的に指示したのでなくても、それは指示したのに等しいことになるのです。
省庁は素晴らしく良くできた組織ですから。

それに対して「忖度」は、その人は指示をしないのに、他の人がその人の心を推し量り、指示または行動することです。
日本では「以心伝心」が尊ばれ、言ってもいないのにそのようになることが美談のように扱われます。
しかし、ビジネスの世界では「以心伝心」をしてはいけないのが鉄則です。
確実に指示が伝わることが重要であり、曖昧な指示であったり、推し量ることにより誤って伝わることを避けなければならないからです。
「そのくらい言わなくても分かるだろう」と思うこともあるかもしれませんが、“言わなければ分からない”のが現実です。

しかし、部下が自分の保身を考えた場合等では、必要以上の“忖度”が起こることがあります。それは本人が考えている以上のことに発展することもあるはずです。
だから良好な組織としては、必要以上の“忖度”が起きないようにすることも必要なのです。
必要以上の忖度は望ましいことなどではなく、もしそれにより本人が思っているのと違った方向に行った場合には、それに対する責任をとらなくてはなりません。
忖度によって思わぬ方向に行くことの蓋然性を作った若しくは放置した責任です。

保身の固まりのような官僚組織に対して政府がその人事権を持っている状況では、忖度が起こりうる状況であると言わざるを得ません。
「首相夫人が名誉校長」であるとか、「首相の竹馬の友」であるとかの状況であれば、何も言わなくても配慮するのが当たり前です。
それがなかったという方が不自然だと思います。

権力を持った人の周りにはそれを利用する人が集まるのも世の常です。
だから、権力者はそのような状況にならないように最新の注意をすることが必要であり、また、周囲の者が本当にその権力者の友人であるのならば、敢えて関わらないようにする、それこそ忖度することが必要なのだと思います。

しかし、“もういい加減にしてくれ!”と言いたいですね。
国会は何のためにあるのでしょうか?  誰のためにあるのでしょうか?
早く正常な状態に戻り、必要な審議をしてもらいたいと思います。  

  山口ゼミの見学をしてきました。

先日、立教大学経済学部山口ゼミの見学をしてきました。
山口ゼミは、山口義行名誉教授が主宰するゼミで、山口教授が今年3月に退官したこともあり、今年が最後の年度となります。
山口ゼミでは毎年、研究成果を論文集として発刊しており、私が参加している勉強会がその援助をしている関係もあり、今回の見学が実現しました。

私の大学時代は、ゼミにも入らず、卒論もなく(経済学部は卒論がありませんでした)、更に学生紛争の名残りで卒業試験も中止されレポート提出で済ませたという状況だったので、あまり勉強したという記憶がありません(勉強はしたのでしょうが、もう昔のことなのですっかり忘れてしまいました)。

だから、今どきの大学生ってどんな勉強をしているのかな?ゼミってどんな形でやるのかな?と、とても興味を抱いて参加しました。

 今年の山口ゼミでは、米国経済班、日本経済班、欧州経済班の3つの班に分かれて研究を行っており、今回は日本経済班が3月に発刊する論文の途中経過を発表し、他の班のメンバーが意見をいい合うという形で進められました。

今年の日本経済班の論文テーマは「待機児童解消に求められる保育士の確保~見直すべき政府の保育への姿勢~」です。

たまたま、うちの会社の従業員で現在育児休暇を取っていて、保育所に入れて仕事に復帰したいのに空きがなくて待機している者がいるので、先日ゼミ生に紹介し、会って話したと聞いていたので、余計にどのような出来栄えなのか気になっていました。

論文では、保育所の供給不足により待機児童数が増加しており、その要因として保育士が不足している。保育士を増やすためには待遇を良くしなければならないのだが、給与水準は低く、それに対する政府の保育支出方針の見直しが必要である。 というような形で論じています。

良く調べ、良く書けていたように思ったのですが、今回のゼミでは、他の班の人たちが、どんどんダメ出しをしてくるのです。 事前に論文案が配られていたので、みんなよく読み込み、意見を言い合い、それに対して反論し、またそれに対して反論を繰り返す。
今どきの学生ってプラプラしているのかな?って思っていたのですが、全然違っていて、びっくりしました。

もちろん、学生なので、まだまだ見る目が狭く、私が指摘するところもあったのですが、今回、ゼミの見学をして、意見まで言わせていただく機会をもらい、本当に良かったと思います。
その後の学生達との食事会もあり、とても有意義な時を過ごさせてもらいました。

 ところで、待機児童問題、出生率を上げる上でも早く解決したいものですね。
そのためには、保育所を増やすことも必要ですが、家庭のあり方も考えるべきだと思います。
昔は大家族で、子供は家族みんなで育てていたものです。 そのような環境であれば、母親も気を抜く時間ができ、何よりも子供が寂しい思いをしなくていいのです。
できるのであれば、他人に委ねるよりも家族の中で過ごした方がいいのではないのでしょうか。 これが長い間培われた日本の文化だと思います。
また大家族ならば、介護の問題にも良い影響が出てくるでしょう。

いつからか核家族がもてはやされてきましたが、今一度、日本の文化を見直し、それに対して補助するなどのことも一考すべきだと思うのですが。

(山本哲郎)

-緊急提言- 中小企業の増税を考える!

安倍政権の成長戦略の目玉として法人税の減税が検討されています。
この減税により大企業は株価が上昇し、高い経済効果が得られることが期待されます。
中小企業においても、法人税が減税されることは歓迎すべきことなのですが、一方、この減税分を他の税金の増税により賄うことが検討されているのです。
それは正しく中小企業の増税につながるのです。
この問題について、先日、中小企業サポートネットワーク(Small Sun)を主宰する、立教大学経済学部山口義行教授と対談を行いました。その内容はSmall Sun NEWSに掲載されているのですが、今回はそれを転載いたしました。
中小企業存続し成長する上でとても重要な問題だと考えられますので、ぜひお読み下さい。


山本公認会計士事務所所長 山本哲郎氏(スモールサン戦略財務プロデューサー)
聞き手 立教大学教授 山口義行(スモールサン主宰)
政府税調が矢継ぎ早に打ち出している中小企業増税策―― 自民党税調も「法人税減税のためならやむを得ない」として、これを受け入れる方向で検討が進められている。

去る5月25日、私(山口)は「中小企業向け増税に反対しましょう」という「呼びかけ文」をスモールサン会員やマスコミ関係者に一斉配信した。そして、私の意見に「賛成」の方はこの「呼びかけ文」を1人でも多くの方に転送してほしいこと、また中小企業団体に所属されている方はその組織で私の「呼びかけ文」を議論のテーブルに乗せてほしいことを申し添えた。
その後、「呼びかけ文」はメールやフェイスブックを通して急速に広がり、増税問題をテーマにした緊急ミニ集会が開催されたり、その集会がきっかけになって各地の中小企業家同友会が「反対声明」を出すなどの動きが出てきている。今後は、反対運動が署名活動や地方議会への働きかけとなって展開していくことも予想される。

そこで、今回は、スモールサン戦略財務プロデューサーでもある山本哲郎氏(山本公認会計士事務所所長)とともに、あらためて増税策の内容やその影響について検討してみることにした。
急速に広がる“反対”の声
~各地で緊急集会が開催される~

山本 山口先生の「呼びかけ文」、すごい勢いで広がっていきましたね。

山口 スモールサン会員の皆さんが、その意義を理解されて、私の呼びかけに真剣に対応していただいたおかげです。でも、皆さん、増税の動きがあること自体をあまりご存じなかったようですね。税金の問題だから、中小企業経営者であれば誰でも関心を持っていると思っていたのですが・・・

山本 そうですね。「税金についてはたしかに関心はあるけれど、税金の仕組みについてはよくわからない」という経営者の方が少なくないんですよ。ましてや、今回の問題については、マスコミの報道が非常に部分的で、きちんと全体像や問題点を国民に知らせようとしていない。そのため、先生の「呼びかけ文」を読んで「はじめて知った」という方が多かったのだと思います。

山口 それでも、「知ったからには“知らんぷり”はできない。何か行動しなければ・・・」というメールや電話もたくさんいただきました。
最初に電話をいただいたのは、「全日本製造業コマ大戦」の仕掛け人として有名な緑川賢司さんでした。「先生の呼びかけ文の反響、すごいことになっています。早速、川崎で緊急討論会を開催するつもりです」という電話でした。私は「それなら僕も行くから、ぜひ多くの人たちに参加するよう声をかけてください」と返答しました。緑川さんはスモールサン会員ですが、神奈川県中小企業家同友会のメンバーでもあります。そこで、6月5日に神奈川県中小企業家同友会とスモールサンの共催で40人規模の緊急討論会が開催され、私がその場で解説と問題提起を行うことになったのです。

山本 たいへん早い反応ですね。

山口 それから、スモールサン・ゼミ埼玉の世話人会会長である太田久年さんから、「埼玉中小企業家同友会で緊急討論会を開くつもりだ」というメールを頂きました。これについても、「僕も行きますよ」と返信したんですが、太田さんは「それならできるだけ多くの人に声をかけます」と言って下さって、結果的には80人ほどの方が与野市の会場に集まりました。この会合の翌日に、埼玉中小企業家同友会は代表理事談話の形で「増税反対」を表明。埼玉新聞(2014.6.13付)が、その「反対」表明と与野市での緊急討論会の様子を大きく報じました。

埼玉新聞(2014.6.13)

 

山本 全国紙の報道が不十分だと先ほど言いましたが、こんな風に地方紙が取り上げてくれれば、ありがたいですね。

山口 さらにスモールサンのプロデューサーである萩原直哉さんからも、「ゼミ千葉としても行動を起こしたい」という電話を頂きました。ゼミ千葉のゼミ長である榎本教俊さんが千葉県中小企業家同友会に働きかけていただき、6月23日に「緊急集会」が開催されることになりました。そこでも私が解説と問題提起を行います。

 

テレビ東京が中小企業家同友会全国協議会副会長にインタビュー
~その後中同協は会長談話で「反対表明」~

山本 先生も忙しくなって大変ですね。マスコミからの反応もあったようですが。

山口 そうなんです。一斉メールですでに会員の方々にはお知らせしたのですが、テレビ東京「ワールドビジネスサテライト」の関係者から、「先生の“呼びかけ文”を読みました。番組でも外形標準課税を取り上げたいので、このことでコメントを頂ける中小企業経営者を紹介してほしい」という電話がありました。
私は「経営者を紹介してもらおう」と、中小企業家同友会全国協議会(中同協)副会長である国吉昌弘さんにつないだのですが、結果的には国吉さん自身がテレビのインタビューに答えて、「外形標準課税の強化は中小企業の立場からすると賛成できない。大企業の減税のためのツケが、中小零細企業に回ってくるのではないか」と発言されました。その後、6月4日に中同協は会長談話という形で「中小企業向け軽減税率の廃止、中小企業への外形標準課税の適用、欠損金の繰越控除制度の縮小」について明確に反対する声明を出しました。これが先ほど紹介した緊急討論会の開催や各地同友会の反対声明を促した形になっています。

 

商工会議所など経済四団体も「反対」を表明

山本 同友会以外の団体の動向はどうですか?

山口 5月28日に商工会議所、商工会など四団体が連名で、増税に関して「反対」を表明しました。私が「呼びかけ文」を配信した3日後のことです。
6月4日のスモールサン会員向け一斉メールで「残念ながら、商工会議所、商工会、法人会からは未だ全く声が上がっていません」と記したのですが、これは誤りで、日本商工会議所、全国商工会連合会、全国中小企業団体中央会、全国商店街振興組合連合会は4団体連盟でいち早く反対を表明していたのです。
ただ、私が見落としたほどですから、日本商工会議所のホームページからこの「反対」の2文字を見つけるのは大変難しいのが現状です。同ホームページでいうと、商工会議所の「政策提言活動」の1つとして、「中小企業の成長と地域の再生に向けた政策の断行を」という文書が5月28日付で発表されたという「ニュース」があり、その記事をクリックすると3つの文章があることが示され、その3つのうちの「中小企業の成長を後押しする法人税制改革を」という表題のものをクリックしてはじめて、1.中小企業の軽減税率、小規模法人特例を含む法人実効税率の引き下げ、2.外形標準課税の中小企業への適用拡大には断固反対、3.欠損金繰越控除をはじめ中小企業税制の縮減反対――という項目に出会います。ここでやっと「反対」という言葉が目に入ってくるんです。もう少しわかりやすい形で、もっと目立つ場所に「反対」の意思を明示してほしいですね。

 

民主党代表がスモールサンラジオで「反対」を表明
~「与党議員の多くも反対している」とする自民党国会議員からの情報も~

山本 民主党の海江田万里代表がスモールサン・インターネット・ラジオ「山口義行の特別講義」に出演され、中小企業向け増税については「党を挙げて反対していく」と表明されていましたね。

山口 まだ聴いていないという方は、ぜひ聴いていただきたいですね。スモールサンのホームページのトップに掲載されていますから、ちょっとクリックするだけで簡単に聴けます。
野党だけではありません。スモールサン会員のところに、自民党国会議員からメールが来て、外形標準課税の拡充や欠損金の繰越制度の縮小については自民党議員の多くがかなり強く反対しているという情報も寄せられています。
ただ、安倍政権ははっきりと法人税の実効税率引き下げを明言していますし、自民党の税調も5月29日に、野田毅会長が外形標準課税の中小企業への適用拡大とセットでならそれを認める方向だということを記者会見ではっきりと表明しましたから、同じ与党の議員がこの流れを押し返すことが本当にできるのかどうか、簡単ではないと思います。やはり中小企業側のかなり強力な反対運動がなければ、与党の議員たちも政府に押し切られてしまうのではないでしょうか。

山本 これからの反対運動の広がり次第ということになりますね。

山口 そうなんです。だから、私は今まさに身を粉にして飛び回っているんです。

 

「外形標準課税の拡大」が当面の最大の焦点

山口 ところで、私の「呼びかけ文」では、政府税調で検討されている増税策として5点(表参照)をあげましたが、なかでも現在最も注目されているのは「外形標準課税の適用拡大」です。ところが、外形標準課税はこれまで中小企業には適用されてきませんでしたから、「知らない」経営者も多いと思います。山本さんから、わかりやすく説明していただけますか。

山本 そうですね。外形標準課税は資本金1億円超の大企業にのみ適用されるものですから、「知らない」という方も多いかもしれません。それを1億円以下の中小企業にも拡大し、そのことで増えた税収を法人税の引き下げのための財源にしようというわけです。
外形標準課税は、企業の資本金や従業員への給与総額などを指標にして企業に課税する仕組みですから、消費税のように赤字企業も課税対象になります。
中小企業の7割は赤字です。ですから、外形標準課税を中小企業にまで適用しようという背後には、「赤字企業からも税金をとれるようにしたい」という意図があるわけです。これは麻生財務大臣が「法人税を払っている企業が3割しかないのは問題だ」と言っていることからも明らかです。ですから、今回の税制改革は何よりも「赤字企業から黒字企業におカネを回すための改革」だといえるわけです。

 

赤字企業にも黒字企業にも重く圧し掛かる外形標準課税

山口 安倍政権の円安誘導策で大幅に利益を増やした企業もあれば、反対にコスト増で利益が減ってしまった企業がある。こういう企業間格差が「外形標準課税の適用拡大」でさらに広がることになりますね。

山本 そのとおりです。資本金1億円超の企業を対象に、2004年度に法人事業税に外形標準課税が導入されたのですが、下図はその際の仕組み上の変化を簡単に示したものです。それまでは所得に応じた税額(所得基準)のみであったものを、所得基準を3/4に下げ、減額した1/4を所得に関係なく課税(外形基準)するようにしました。これはあくまでも大枠としてそのように外形基準を設定したということであり、実際の税額算出には細かな規定がいろいろありますから、個々の企業で事情が相当異なってきます。
中小企業の場合は、2004年度に外形標準課税が導入されませんでしたから、現在も事業税(地方法人特別税を含む)は所得額に応じ4.9%~9.6%の税率が課せられています。今回の税制改正で中小企業に対する外形標準課税がどのようになるか分かりませんが、いずれにしても外形標準課税が導入されれば、所得の多い企業では所得基準の割合が小さくなるので税額が低くなることもありますが、所得の低い又は赤字の企業にとつては間違いなく増税になるでしょう。
注) 法人事業税の外形標準課税化: 2004度から資本金1億円超の企業を対象に外形標準課税が導入された。

 

山口 具体的な事例で示していただけませんか。

山本 たとえば、資本金5000万円、従業員100人で給与総額5億円、法人所得2000万円という企業があったとします。この企業は、5億円の0.48%にあたる240万円と資本金5000万円の0.2%にあたる10万円の合計250万円が「外形基準」で課税され、さらに法人所得2000万円の7.2%にあたる144万円が「所得基準」で課税されることになります。合計394万円ということになるわけです。現在の事業税は2000万円の9.6%、192万円だけですから、このケースの場合、倍以上の税額となってしまいます(中小企業に対しては事業税に関しても軽減税率がありますから、実際には税額は192万円よりも少ないのですが、この点は無視して算出しています)。さらに、支払っている金利や賃借料が大きい場合には、それにも0.48%の割合で課税されます。

 

「中小企業を守り、育てよう」という意識を欠いた増税策

山口 そのほかの増税策についてはどうですか。

山本 一言で言えば、「中小企業を守り、育てよう」という意識を完全に欠いた増税策だといえますね。たとえば、法人所得800万円までは法人税15%、それを超えると大企業並みの25.5%の税率を適用するという中小企業向け軽減税率がありますが、これを廃止するということが話題になっています。中小企業の場合1000万円以上の利益を出している企業はむしろ少数派ですから、この軽減税率が廃止された場合の影響は企業にとってかなり大きいということになります。
そもそも大企業と中小企業とは体力が違います。それを大企業と同じ税率を課すというのでは、「中小企業を守り、育てる」のとはまったく逆行しているとしかいえません。
それから、欠損金の繰越控除、これも経営の安定にとっては非常に重要な役割を果たしています。欠損金の繰越控除は、過去に赤字を出した場合、その後の利益で埋め合わせをした上で税額計算ができるというものです。従来は過去の欠損金をその後の利益で埋め合わせることのできる期間が5年、その後7年となり、現在は9年となっていますが、これをたとえば5年に戻す可能性がある。そうなると、中小企業は過去の痛手からなかなか抜け出せなくなります。結果として、経営が不安定化することにもなります。海外では年数制限そのものがない国もあるくらいですから、中小企業は堂々と反対していいと思いますね。

山口 今回の増税策は、国は中小企業の重要性を認め、これを支援していくのだとした「中小企業憲章」(鳩山内閣で閣議決定)の精神を真っ向から否定するものです。長年、「憲章制定運動」に取り組んできた中小企業家同友会にとっては、今回の措置を許せば、これまでの「運動」は一体何だったのかということにもなりかねません。同友会の方々が怒っておられるのも当然だと思います。
私も中小企業経営者の方々と一緒に反対運動に取り組む所存ですが、税理士さんも、ぜひこの「戦い」に加わっていただきたいですね。

山本 税理士としては、当然中小企業とともに歩んでいくという覚悟がなければならないと私も思います。

山口 「法人税の実効税率引き下げのための財源をどうするかは年末までに決定する」というのが政府の方針のようです。これから年末まで、中小企業経営者とそこに働く人たちのプライドをかけた戦いが続きます。スモールサンとしても、気を緩めることなく、皆さんとともに頑張っていきたいと思います。

(2014年6月16日インタビュー)

 

 

 

 

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戦争の記憶、将来にどう残すのか?

 8/15は終戦記念日でした。
 68回目ともなると、戦争を体験した人も数少なくなって来ていますが、地球上の何処かでは常に戦争が起こり続けています。
 エジプトでは内戦で混乱をきたしていますし、パキスタンとインドの情勢も危うい状況にあります。
 最近、中国人に「日本との戦争があるか?」と聞くと、多くの人が 「あると思う」と答えるそうですが、日本人はというと・・・?

 日本人にとって、“戦争は過去のもの”であり、“平和は当たり前”なのですが、諸外国のこのような現実をしっかり認識した上で、“平和が如何に素晴らしいか”“どのように平和を維持すればいいのか”を考え、世界に向けて発信してもらいたいものです。

 しかし、・・・。

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 昔、我々会計人の必携の道具というと、何といっても“ソロバン”でした。
 私が子供の頃は、父が自宅で会計事務所を開業していたので、父や職員の人たちがソロバンでいろいろ計算していたのを見ていて、ソロバンは私の遊び道具でもありました。
 その後“電卓”が世に出始めると共にソロバンで計算することもなくなり、最近では見ることも希なモノになってしまいました。
 先日、NHK解説委員室のサイトを見ていたら、海外ではソロバンに関心が高まっているとありました。中国や韓国、マレーシアなどアジア以外にアメリカやブラジル、それに中東の国々など世界の50か国以上で普及し、英語の辞典でも“SOROBAN”が使われるようになったそうです。
 デジタルな時代が進む中、アナログの最たるものであるソロバン。なぜか癒された?気になりました。

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 as_1アベノミクスと人口問題

先日の東京都知事選、自民党の圧勝、民主・維新の会の惨敗という、ある意味予想通りの結果でしたね。

維新の会の惨敗は、言ってはいけない本音?を当然のことのように言ってしまう軽率さの結果であり、民主政権下の優柔不断さが、自民党に大きな期待を抱かせたのでしょう。

しかし、アベノミクスの真贋評価はこれからです。本当に日本経済は復活するのでしょうか?
安倍首相は、“国民一人当たりの「国民総所得」を、10年後に今より150万円以上増やす”という目標を掲げています。

それだけ、収入が増えるということでしょうか?

残念ながら、必ずしも、そういうことではないようです。

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as_1還暦同期会での話題

 先日、中学・高校の同期会がありました。

 今回の同期会は、今年皆が還暦を迎えるということで、一泊で茨城県の潮来で開催したのですが、男ばかり(男子校だったので)90名を超える同期生が集まるという大イベントでした。
 冒頭、同期会会長の挨拶があり、「国の無策の結果から、我々は60才になっても年金がもらえないことになりました。皆さんせっかく還暦を迎えゆったりとした人生を迎えんと考えていたのに、もうしばらく働き続けなくてはいけません・・・。」で始まりました。

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as_1『日曜大学』(中小企業経営研究会)に参加しませんか?

 来る6月2日(日)に、スモールサン日曜大学(中小企業経営研究会)が開催されます。

 この『日曜大学』は、中小企業サポートネットワーク(SmallSun)  http://www.smallsun.jp/index.php という中小企業の勉強会組織が主催する年に1回の大イベントです。

 立教大学の教室で勉強をし、立教大学のシンボルでもある煉瓦造りの第1学生食堂で交流会を催します。

 今年で3回目。

 今の行き詰まった経営環境の中、中小企業がどのように生き延びるるべきか?の“ヒント”になると思います。

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